祖母の家が鹿児島にあり、家族で訪問の予定があったため、親の反対を押し切り自転車を担いで一人ヒルクライムライドを満喫してきました。
ちなみに祖母宅は標高約400m地点。
電波は限りなく薄く、通信はできるもののアンテナ表示はされません。家の前道路挟んで向かいの林に鹿が出ます。お隣は牧場。
そんな山の中からのスタートです。
出発前は両親にも親類にも「えびのまで上がるのなんか無理だよ!車でも辛いもの!」と言われていました。
車の方が座席垂直に保てないからちょっと傾くと重力感じるんですよねw
ゆっくりいけば行けるから大丈夫。
ルート引いたら90km/1700mくらいになったけど大丈夫。
今回、自転車は路面凍結や積雪を心配して28Cタイヤを履かせた乙女ギアのアルミロードで行きました。ペダルもSPDでゆるポタ仕様。
後々この子で来てホントに良かったと痛感します。
目指すは霧島温泉郷
まずは最初で最後のコンビニのある丸尾の温泉郷を目指します。
祖母宅からスタートして林道を進むと、いきなりつづらが始まるので潔くインナーに落とします(笑)
周りに民家はそこそこあるのですが、庭が広く家から道までが遠いためか、人の気配が全くしません。変わりに茂みのざわめきや鳥の声かが聞こえます。2月終わりでしたがうぐいすも鳴いてた!
ヒトの存在、人工物が異物に感じる。圧倒的に自然の方が強いと感じさせるような道でした。
車で通ってもこんなこと感じないかもしれませんね。自転車で行くと静かすぎない、生きてる森の静けさを感じることができます。
しばらく進むと広い道に合流し、ゆるやかな下りを経てあっという間にチェックポイントへ。
途中の橋からは勢いよく登る湯けむりと谷を臨む絶景が楽しめます。硫黄の臭いも漂ってきた!
橋の下はこんな感じの谷です!下の道どうやって降りるのか考えたくもない(笑)
ラストコンビニはこれ。ワインディングに埋もれるコンビニ。
念の為スローバーを食べ、他にもゆべしを買っといたもののこちらは結局食べずに登りきれました。
そしてせっかくなのでご当地っぽいものを探したらこんなものが!
このネーミングセンス、嫌いじゃない!!
本当はこの付近で丸尾滝を見るつもりだったのですが、道が分からずスルーしてしまいました。悔やまれる…。
温泉郷のつづら区間
ここから更にえびの高原へ向けて登坂が始まります。始めの2/5くらいは温泉郷のつづら区間です。
さて、いざ登坂!と坂を見上げると、湯けむりが道を塞ぐ!
湯けむりに突っ込むなんてはじめてだー!
そこかしこから湯けむりが上がり、前日の雨を受けてか側溝にはだくだくと水が押し出され、遠くから滝の音が聞こえます。
少し進むと硫黄谷温泉の噴気地帯があり、景色がもう真っ白!!
なんだこれなんだこれ!
水の力!山の力がすごい!!
ちなみにこの辺ずっと13%くらいです。
最大9%ってRoadQuestには書いてあったんだけどおかしいな。一部18%くらいのとこもありました(笑)
景色がくるくる変わってすごく楽しい道でした!
ラストのT字路の手前が体感的に1番キツかったかな?ゆっくり登ってたら何台か車に抜かれ(他はほぼ車なし)、軽いクラクションで応援してくれる人もいました。
高原のストレート区間
その後はほぼストレートの道がずっとずっと続きます。車はほとんどなく道路独り占め。
気付くとさっきまで高いところから見下ろしていた杉の木が見えなくなっていました。
標高1,000m越えたのか!
ならば…花粉用のマスク、とってしまえ!!
とマスクを下ろすと、
「空気うまっっ!!!!」
思わず一人言。そりゃあマスクの制限から解放されたら美味いよな、よしもうひと呼吸。
…やっぱり美味い!
山の香りと澄んだ空気が最高に気持ちいい。
斜度は7%くらいに弱まり、途中から景色が変わらなくなります。
時期によっては沿道で固有種のキリシマミズキ、ノカイドウなどのお花が楽しめますが、登ったのはやっとツボミがついたばかりの頃。
景色に飽きてアスファルトから上がる霧を見つめて走りました。…というか何これ!目の前から霧が生まれる瞬間初めて見た!しかもアスファルトから!
念のため側溝に流れる湧き水を触ってみましたが冷たかったです。湯けむりじゃなくて霧!
到着!えびの高原!
そうこうしているうちに霧島連山の山々が見え始め、県境を超えたあたりで下りに入り、やっとえびの高原到着!!
韓国岳(からくにだけ)が間近で噴煙を上げていました!噴煙は見る度に量を変えるので見ていて飽きません。
えびの高原には道の駅があり、サイクルラックも設置されているので、自転車を置いてたっぷり楽しめました。
まずは腹ごしらえにおぜんざい。糖分が染み渡るー!
豆の味がしっかりしていて、柔らかめに焼いたお餅が美味しかったです!
そしてここの道の駅、足湯があるんです!
ちゃっかり持参したタオルを持って足を突っ込みます。ちょっとぬるいのですがロケーションが良いので良しとします(笑)
地元の人話しかけてくれ、最近ずっとぬるいのよーと教えてくれました。夏にはちょうどいいかもですね。
足湯を満喫したら、展望台まで10分ほど歩いていってみました。
道の途中には火山灰を含んでいるのか乳白色に染まった川が流れています。
ん?ちょっと待って。
さっき見た川は鉄っぽく赤かったのに!
こんなに近くで色の違う川が見れるなんて面白い。
展望台に着くと、韓国岳が違った角度で眺められます。
さらに、先ほど通ってきた道が見下ろせるんです。これはエモい…
40分くらいで火山湖を見に行けるハイキングコースがいくつかあるので、いっそ自転車置いて楽しむのも良さそう。キャンプ場に泊まるのもいいなぁ。
道の駅のお土産コーナーでは、登山客向けのグッズも売ってました。かわいい!
宮崎側へダウンヒル!
えびの高原には天然のスケートリンクがあり、さすがに標高が高いので寒いはずと警戒していましたが、積雪や凍結もなく暖かかったです!
今年の九州は雪が少なく、さらにこの日はすっかり春の陽気だったのでサーモインナーと冬用ジャージで快適。ウィンブレは暑いくらいでした。
用意していたダウンベストを使うことなくそのまま下りへ!
ゆるカーブで市街が見渡せ、車もなくて走りやすい!
ダウンヒル好きにはめちゃくちゃ楽しかったです!
途中旧道?の方に逸れて白鳥神社へ立ち寄り。ここは割と斜度あったような気がします(笑)
音を立てて登る噴気の横をガタガタとくだりました。
白鳥神社は霧島神宮、鹿児島神宮に続き、皇室と同じ菊紋を使う数少ない神社のうちの1つです。
この辺りの神社は本当に大きな御神木に圧倒されるのですが、白鳥神社も夫婦杉、家族杉と大きな幹が立派でした。
更にもう少し下ると、道の脇に白鳥展望所が見えてきました。
市街が一望できる!!!大分下ってきたのにまだ高いぞー!
下り切ったらいったんえびの駅まで出ようと思ってたのですが…信号が見えた途端に拒絶反応が(笑)
ふと左を見ると田舎道が続いている…
…よし、こっちでもいけるな。
事前に引いたルートだとほぼ平坦だった気がするんですがショートカットに入ったことで獲得標高増えました(笑)
でもこういう橋とか、
こういう谷とか
たまりませんよね!
少し平坦路もあって、登ってきた山の方を眺めるこんな景色も見れました。
九州自動車道の橋かな?こういう橋好き…。
ランチは絶品チキン南蛮!
しばらく走りお腹が減ってきたので、目に入った中華料理屋さんに入ってみました。
中華と言ってもほぼ定食屋さんみたいな感じ。とりあえず目に入ったチキン南蛮を注文します。
この時点で正直そんなに期待はしていませんでした。まぁ普通の街の定食屋さんかなと。
いや、九州の街の定食屋さんのレベルを舐めていたのかもしれない。
チキン南蛮、めっちゃくちゃ美味しい!!!
東京で食べるのと全然違いました。
ひたひたのサッパリした甘酢タレが美味しいのなんの。
タルタルもざくざくのピクルスがいい酸味!
お肉柔っかい!!
お肉柔っかい!!!
950円のチキン南蛮セットには小鉢2つと茶碗蒸しまでついてボリューム満点ですが食べきりました。
林道…ダート…長い帰路
ご飯を食べてあとは帰宅!
実はこの日夜に予定があったのでタイムリミットはあと2時間くらい。
残り30km。10km登りの20km平坦だとしても、2時間あればつけるかな?
「よし、寄り道ルートに変えよう。」
この時の自分を3回くらい殴りたい。
地図を見ていたら広大な敷地の牧場が見えたんですよ。ローディーって牧場好きじゃないですか。
そしてあろうことかGoogle Mapに徒歩モードで道を表示してしまったんですよね。
なんだかすごく嫌な予感のする細道を進むと、やっぱり嫌な予感のダートの入り口が見えました。
タイル状に割れたアスファルト。
そのまま斜度は14%を超えていき、ふらつきながら登ります。
引き返そうかって何度か思ったんですけどね、なんでか引き返そうって思わなかったんですよねー。
途中アスファルトが完全に消え、前日の雨によるぬかるみを車の轍が盛り上げて、足の踏み場は全然なし。
そして続く斜度…。
流石に自転車を降りました。
粘土質の土がタイヤとクリートに絡みつき足が重い!
そのまま300mくらい押して歩きました。長かった…腰にくる…。
やっと舗装路につき、泥を落として再スタート。
舗装路についてもまだ少し登りつつもやっと牧場へ!
牧場近くに展望所があるとの看板がありましたが坂道が見えたのでスルーしました(笑)
牧場は広すぎて牛の姿はおろか牛舎さえ見れませんでしたが、広い牧草地から見下ろす景色がすごくきれいでした。
というか本当に広い!!
ダートの後に心の平穏を取り戻し、よーしあとは帰るだけ、流石にこんなに登ったんだからあとは下るだけに違いない。
…と思ったのですがそんなに甘くありませんでした。
そこから更に登り続け、霧島アートの森方面へ。今 Mapを見返すと完全に道の選択を間違っていた事に気付くのですが、またしても闇の入り口に誘われ林道を突き進んでしまいました。
遠回りしても正常な道を探すべきだった…
今度は路面は乾いていたものの、崩れたアスファルトのまま斜度が20%近く上がり、休むことなく坂が続いていました(笑)
途中砂利道になり、またしても自転車を降りることに。
全然進まなくて笑えてくるwww
最後少し下りもありましたが道どんどん狭くなるし最早アトラクションでした。
この辺を走るときはもうGoogle Mapを鵜呑みにしないぞ!!
みなさんもおヒマな時にストリートビューでこの辺見てみてください。笑っちゃうくらいすぐ林道ぶつかります。
道の脇に丸太が積み上がってたりきのこの原木並んでたりも普通にあります。
やっと普通の道に出たら、待ちに待った下り基調!カーブが多くてスピードは出せないものの景色のいい田舎道を進んでいきます。
お茶畑を見下ろしながらの夕日は最高のご褒美でした!
帰宅予定時間はオーバーしたもののどうにか夜の予定には間に合いライド終了。
えびのヒルクライムの思い出が若干ダートクライムにかき消されそうですが、地方でしか味わえない体験を楽しんできました。
思い返せば車も信号も無ければコンビニも自販機もめっちゃ少なかった(笑)
また自転車担いで行ってみたいと思います!!